家出少女神待ちミナコ

家出少女 神待ちミナ 恋情のアカ②


「はい、お水。ウガイして?」
「ありがとう…」

胃の中には何もなくて、渚さんが持ってきてくれた風呂場の洗面器に、粘ついた胃液だけを吐き出した。口の中が気持ち悪くて気が済むまで、水で濯ぐ。
ベッドの端っこに腰かけた彼女は、同じくベッドの上に力なく座り込んだ私から汚物入の洗面器を取り上げて。

「酷い顔してるよ。シャワー浴びてきたら?」
「…うん」
「何か食べる?お粥でも作ろうか」
「固形物がいい…」
「了解。見繕うね」

そう言って、渚さんが笑った。
歩く度痛む頭も寝起きほどの激痛でもなく、私は彼女が即すまま風呂場に向かう。
脱衣所で、着ていた服を脱いだ。下着まで全部。
ああ、着たまま寝てたから、折角のお気に入りが台無しだわ。
鏡に映った顔は、みすぼらしい。
ぼさぼさの長い髪。まあコレはウィッグだからいいとして。
無造作に引っ張ったら、留めていたピンが跳んだ。
そして、本当の私が姿を現す。
160満たない身長の細っこい身体。もう少しふっくらした体型が良かったのに全然太れない。
短く切った髪、丸みのない痩せた頬、日焼けした肌。
――酷い顔色。
それを隠そうとしてどんどん濃くなる化粧。お手入れなんてしてないからますます肌が荒れるんだ。
溜息をつきながら、みっともない自分の顔をそっとなぞった。
化粧なんかもうとっくにはげてて、うっすら髭なんて生えてるし。永久脱毛してみようかなぁ。

(…あれ?)

そこで初めて、私はことの重大さに気がついたのだ。

(……あれれ?)
(私、もしかして、この格好で、彼女と一晩、過したの…?この、姿で…)

ザアッと全身から、血の気が一気に引いた。
早鐘のような鼓動。ガタガタと震えて、歯が噛みあわない。

(ど、どうしよう)

って今さらなんだけど。
こんな姿で、私は、渚さんの前に。そう思うと、このあとどんな顔で彼女と会えばいいのかわからない。が、こうしていつまでも脱衣所に素っ裸でいるワケにもいかない。不安な気持ちのまま、とりあえず頭から熱いシャワーを浴びた。

「野菜があったから適当にスープなんか作ってみたの。あとフレンチトースト焼いたんけど、食べれる?」
「…うん、好き」

手際よく彼女は、ベッド傍の小さなガラステーブルに皿を並べていく。
よれよれの部屋着を着込んだ私は、その後姿をボンヤリと見ていた。
なかなか傍に寄らない私を彼女は訝しげに振り向き。

「先生?どうしたの、突っ立ったまんまで。こっちにおいで?」
「あ、あの…」
「なぁに?」

彼女の笑顔が屈託なくて、私は言葉に詰まった。
それでも、聞かずにはいられないのだ。

「渚さん、あの、僕のこと、あの、ええと」
「――女装してたから、ワカラナイと思った?」

どう言い返せばいいのか、困惑した。

「……」
(判っていてあなたは)

介抱(というか保護?)してくれたの。でもどうして?そんな私の表情【かお】を見ながら彼女はゆったりと微笑【わら】う。あんまり綺麗なので、ますます動けなくなった。――見蕩【みと】れたのだ、私は。

「綺麗だったよ、先生」
「…へ?」
「先生って塾じゃあお人形みたいって言われてるの、知る訳ないか」
「…あの?」
「笑っても能面みたいで、全部マニュアルに従ってまーすみたいなそんな感じ?っていうか…塾がつまんないんだなぁって思ってたのあたし」
「…そんなだったんだ、僕」

なんだ、顔に出てたんだ。そう、面白くなかったよ…つまんなかった。
だって皆んな愉しそうなんだもの。
好きなことして、自分に自信があって、羨ましかったのよ。
だからオカマバーでこっそりバイトして。違う自分になりたかったの。全部バレバレだったかぁ。

「そんな先生がね、駅で泣き喚きながら、四方八方に八つ当たりして挙句の果てにホームでゲロ…」
「わぁぁぁぁ!もういいから!判ったからやめて!」

恥ずかしい事実(覚えてないけど)に慌てた私は、思わず渚さんの口を両手で塞ごうとした――のが悪かった!

「きゃっ」
「え?!」

なんということでしょう、私は。
生まれて初めて、女の?子を組み敷いてしまいました。しかも生徒を、勢い余って。

「…あ、ら?」

ありえない体勢に固まってしまった私に、

「先生ってば、大胆ね」

と、渚さんはさも愉しそうに哂【わら】った。
耳元にかかる息がくすぐったい。

「でも駄目。下は嫌いなの」
「ひゃっ!」

下肢から、ぶるっと震えが背筋を這った。
彼女の手が、私の大事な処を弄【まさぐ】っていたのだ!
さすさすと優しく撫で、時折強く握り、刺激を与え続ける。布越しだった愛撫はやがて、直【じか】に施される。

「あ…あ、あ、あ、やめ…あん!」
「ふふ、硬くなってきたね。気持ちいいのスキでしょ。ねぇ…?さきっぽから竿までぬるぬるしてるよ…あぁ我慢汁もいっぱい出てきた…ねぇ先生聞える?このいやらしい音、ちゃんと聞いてる?」
「だ、め。はな、し、ああんッ!そこっ、さわんないでぇぇッ…あん、あ、ひゃあ!!」
「タマ、弄られるの、いいんだ…じゃあココは?使ったことあるんだよね?おちんちんイジメながらだとお尻の穴、パクパクしてるよ、先生」

艶っぽい渚さんの言葉攻めに、私は、

――もう、だめ。
――いく、いく。

とかなんとか言いながら、あっさり、落ちた。

「…泣かないでよ。あたしが悪かったってば」
「うっうっ、うう~ッ」

服を着たまま渚さんの手管に酔って、下着のなかで射精して、我に返った私はついに号泣してしまった…。
散々痴態を晒したんだから今更泣いたところで大した恥にもなるまいというか、もう情けなくて。
ふたりだと物凄く狭いベッドに転がって、彼女に背中を向けたまま、洟をすすった。

「…ねぇ、先生。話の続きしてもいい?」
「…う、う?」
「ホームで先生が吐いてたとこ、あたし見てたんだけどさ。先生別人だった。勿論女装してたっていうのもあるんだけど、なんていうか、お人形さんじゃなくて生身の先生自身を初めてみたっていうか…気になったっていうか…」
「う?」
「ほっとけなかったの。だから、酔って正体不明の先生につけ込んだの」

ゆっくり、私の背中が重くなった。
ちゅっ、と、耳元に大きく響いた音。

「先生、すごく可愛い。あたしの…」
「なぎ…」
「あたしの、オモチャになって」
「な…」

思わず見上げた渚さんの顔はもう女子高生ではなく、見知らぬ女のそれで。
私は、惚【ほう】けたように、妖艶に哂う彼女を見ていた。
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by sefu0 | 2010-09-06 17:57 | 家出少女神待ち 官能小説

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